ぴこのねごと

さあ、つかの間の現実逃避へ。 旅とフラと時々経理の話

フィンランド イナリ オーロラとちりばめられた宝石 Day3

フィンランドに出かける前のふしぎ発見で、フィンランドエストニア特集をやっていた。オーロラを見にやってきていたのは、キルスピヤルビ。イナリと緯度はほぼ同じ。サンタクロースがいるロヴァニエミから西へ400キロの場所にある。フィンランドスウェーデンノルウェーの国境沿いにある村だ。

 

番組はスノーモービルでサウナをひっぱり、2時間半の場所でサウナに入りながらオーロラを待つというものだった。しかし剥き出しのスノーモービルで極寒の中、移動はかなり大掛かりなものだし、1回目で見えなかった場合、別日に再び行くのも面倒だなと思えた。


イナリのホリディヴレッジからは各コテージから1〜2分でオーロラが見えるイナリ湖がある。とても簡単だ。明日以降2泊するオーロラハットに泊まれば、部屋の窓からオーロラを見ることもできるし、見えたら外に出るということも可能だ。服を着込むのに5分くらいかかるが。

 

イナリにあるほとんどのホテルやコテージは、外にでて少し歩けばオーロラ観測ができる場所に建っているので、雪の中機動力を持たない旅行者にとってイナリはシンプルでお手軽な場所だと言える。オーロラを見ることに特化するならば、イナリはとても効率的だと思う。

 


朝起きると昨日の雪がまだ降り続いている。天気予報を見れば午後から晴れる予定なのだが、曇天と雪を恨めしく見る。春の天気は中々に不安定だ。


ゆっくりと朝食をとり、水分の多い雪の中、散歩に出かける。

 

f:id:Cagedsheep:20200325072829j:image

今朝のイナリ湖

f:id:Cagedsheep:20200325072825j:image

雪がミルフィーユみたいに屋根に積もっている
f:id:Cagedsheep:20200325072821j:image

住宅街を歩くがほとんど人と出会わない

 

ホテルイナリを超えて、議会会議場のSAJOSまで歩く。サーミ族のお土産屋さんや図書館、カフェがある。公民館みたいな感じだ。

f:id:Cagedsheep:20200325072859j:image
f:id:Cagedsheep:20200325072902j:image

 

図書館はそんなには広くなかったが、のんびりできるスペースがある。ちょうど良い空調とクッションにダメになりそうだった。本を読んだりうたた寝したり、エンドレスに過ごせる気がする。

f:id:Cagedsheep:20200325072931j:image
f:id:Cagedsheep:20200325072935j:image

日本の漫画があった。鋼錬は分かる。銀牙もまあ分かる。
f:id:Cagedsheep:20200325072938j:image
f:id:Cagedsheep:20200325072941j:image

が、となりの関くんにはびっくりした。すごいね。
f:id:Cagedsheep:20200325072944j:image

 

館内はちょうど良い温度で、ウロウロしていると喉が乾いてくるので、カフェでバターコーヒー(3.5€)注文する。

f:id:Cagedsheep:20200325073005j:image

f:id:Cagedsheep:20200325073009j:image

 

お昼の時間だったので、ランチもやっていた。ここの職員の方々なのか会議室に集まって来た地元の人なのかよく分からないけど、適度な混み具合で落ち着く。

カフェのレジの女性がハーマイオニーに似ていると友達に言われたが、良く分からなかった。


ゆるゆるとお茶をしていると、だんだん外が晴れてきた。朝の天気から想像がつかないほど晴れてきた。

f:id:Cagedsheep:20200325073030j:image


お昼寝をして夜に備える。日没は17:30くらいなのに、19:30まではとても明るい。緯度が高いせいなのか。夕飯を済ませて、いざ観測に向かう。

 

しかしオーロラと言ってもどうやって空に現れるのかよく分からない。何せ見たことがないんだから。写真や映像で既に空に出て、ひらひらとカーテン状なっているものは見たことがあるが実際の登場シーンは謎のベールに包まれている。

 

レセプションのお兄さんにオーロラが現れる方角を聞いたところ、「コテージからイナリ湖に出たら、左斜め上を見ろ」と言われた。ざっくりとしている。

 

 

イナリ湖に行くとすでに10人くらいの人々が観測を始めていた。本来なら電灯がないため、湖畔は暗い場所のはずなのだが、ちょうど満月の時期に当たってしまったため、昼間の様だ。ヘッドランプはいらなかった。

f:id:Cagedsheep:20200326091213j:image

iPhone夜景モードで撮影。夜でも空は青いんだとよくわからないことを思った。

 

夜空を見上げると星が散りばめられている。プラネタリウムの様に「それではお月様を消してみましょう」とできれば、もっと星が見えるよねと友が言う。確かにちょっと消したいかもしれん。それほどの強い光だ。

 

イナリ湖の左手方面を見ていると、雲の様な白い煙が空に突然静かに現れた。雲かな何かなと凝視していると、色が緑に変わって、広がってきた。

f:id:Cagedsheep:20200326091444j:image

オーロラだ。緑の光が広がっている。これが。


f:id:Cagedsheep:20200325073142j:image
f:id:Cagedsheep:20200325073136j:image

その後次々に縦に雲の様なものが出てきて、色が見えてきて、オーロラと分かる。現れて、繋がって、消えていく。不思議だ。何だこれ。


f:id:Cagedsheep:20200325073144j:image

しばらくすると今度はイナリ湖の向かって中央にもオーロラが現れた。寒さが吹き飛ぶほど興奮した。よく分からないけれど、「がんばれ!がんばれ!」と両手をグーにして空に向かっている私がいた。

 

 

オーロラが出てくる瞬間は、市川春子先生の「宝石の国」で空に黒点が現れて、中から美しく空虚な月人が降りてくる瞬間みたいだ。美しくはかなくふわふわとしている。夜空を見つめている私は、シンシャか昼の宝石たちのようだと思った。

 

コテージに戻って暖をとったり、湖へ行ったりを繰り返して、夜3時頃眠りについた。

 

 

 

フィンエアーも3/26で成田-ヘルシンキ行きは運行停止。国境も閉鎖されてしまった。今年のオーロラシーズンはもう終わってしまうし、間に合わない。けれど9月から再びオーロラシーズンが来るので、気になる方は是非見に行ってほしい。

 


どこへ行くにも窮屈で雰囲気は重苦しい。けれど思考はいつでも自由だ。行きたい場所見たいものに心を馳せて、出来るだけ平常心を保っていきたいなと思う。

 

こんな状態でも思考はいつでも自由だし、その状態にいられることは実はとても幸せなことなのかもしれないな。