ストライキ フライトキャンセル SAS - 私の場合
記念すべき令和第一回目のブログは、ノルウェー スピッツベルゲン島で真夜中の太陽を追いかけたり、フィヨルドを見たり、氷河をハイキングしたりする大スペクタクルな投稿をする予定だった。
しかし、結果として2019/4/26から5/3まで続く長いスカンジナビア航空(以下、SAS)のパイロットによるストライキにより、オスロからロングイエールビェンへのフライトがキャンセルになってしまったため、スピッツベルゲン島に行くことができなくなってしまった。
メーデーの日を挟んで旅行に行くなんて海外のメーデーを舐めてる、そもそもゴールデンウィークに長期海外旅行に行くのが悪い、個人手配をするべきじゃないなど、何かしらの突っ込みはあるかもしれない。しかし、将来、海外で乗る飛行機がストライキによりキャンセルになって、困っている人の手助けになればという趣旨で、このブログを更新した。
そのため、そんな風に思う方はここでお戻りいただければ幸いです。moi moi!
*5/11 友が情報を仕入れてくれたので、いくつか情報を更新しました。
*6/29 決着がついて、心が落ち着いたので、情報を更新しました。
さて、ここからは時系列に話を展開していこうと思う。
4/25 フィンランド ヘルシンキ 到着
事の発端は、4/25、SASからの1通のメールだった。
既に、フィンランドのヘルシンキに到着しており、メールを確認したのはホテルに到着してからだった。
2日後の27日にオスロで友人と待ち合わせをしていた。この時は、警告だけだったので、後2日もあるから、何とか28日朝のフライトには影響がないだろうと楽観的に考えていた。楽しみにしていたサウナへ向かう。
4/26 フィンランド ヘルシンキ 滞在2日目
朝、起きてみるともう一通SASからメールが来ていて、「お、問題なくストライキが終わったかな」と楽観的な気持ちでメールを開いた。
内容は、パイロットによるストライキでフライトの遅れやキャンセルで影響があったらごめん、フライト情報など確認しろとのことだった。ストライキが始まったようだった。
SASのホームページでも、28日の便がキャンセルされるか、されないかよく分からない状況。27日分でストライキに関係なく飛ぶフライトが10便程度表示されているだけだった。
何せヘルシンキにいるので、ノルウェーでのロングイエールビェン行きフライト状況が良くつかめなかった。日本- ヘルシンキ- オスロは、フィンランド航空で取っていたので確認をどうすればよかったのか、正直分からなかった。ひとまず、この日はサウナを2件はしごした。
この時、もしかしたらバンター空港に戻ってSASカウンターに行けばよかったのかもしれない。
*5/11追記 この時、サービスカウンターで最新情報を確認及び、代替便を確認した方がよかったようです。ただ今回はスピッツベルゲン島という僻地及び日程が限られていたので、確認しても渡航は難しかったかも。
4/27 フィンランド ヘルシンキ からノルウェイ オスロへ移動
朝のサウナを満喫後、ホテルで状況を確認してもらったが、さほど情報の更新は無く、明日は大丈夫なんじゃないとぼんやりと言われ、不安に駆られながらもオスロへ移動。
不安からなのか、サウナに入りすぎたのか、ガーデモエン空港に到着する頃に頭痛がひどくなり、予約してあった空港近くのホテルで、友人が来るまで仮眠をとることにした。この時メールを確認するとオンラインチェックインのメールが来ていた。チェックインだけをした。少しだけ希望が見えたが、自動で来るメールのような気もして何とも言えない感じ。
夕方、友人が空港に到着したので合流し、まずはご飯を食べてから、空港に向かった。出発ロビーのSASのサービスカウンターには人はおらず、この看板が出ているのみだった。
情報が何もないので、ホテルに帰ろうとしたところ、話をしているSASの職員を見つけ、無理やり状況を確認した。
彼によると、明日の朝5時からサービスカウンターが開いているので、その時間に来い、ホームページで公開されている情報を逐一確認しろということだった。
空港の掲示板には、明日の早朝便のフライトステータスが表示されており、既にCancelledのステータスになっていた。10時の便については何も記載がされていないが、不安しかない状況だ。
4/28 オスロ ガーデモエン空港
朝5時に空港へ行くとサービスカウンターに既に20組ほどがおり、列を作っていた。
番号札を受け取り、大人しく待った。色々な国の旅行者たちがここには集っていた。順番を待たずに直接カウンターでスタッフに話しかける人、番号札を適当に取って、カウンターの人に違うの取ってまた並べと言われた人、オンラインで取ったから自分は大丈夫だとちょっと意味不明な同じ話を周りの人にするおじさんや泣いている女の子などをぼんやりと眺めている。
1時間ほど待ったところで、番号が呼ばれてカウンターへ向かう。当たらなければ良いなぁと思っていたヒゲモジャの怖そうなおじさんの所だ。
彼によれば、本日のフライトはキャンセル、明日もキャンセルされている。ノルウェイジャンも今日は飛ばない。船や鉄道など他の代替手段はない。行き先が僻地すぎるので飛行機以外で行ける交通手段がない。ヒゲモジャさんは困ったような顔をして、どうするか?と言ってきた。予感はあったものの事実を突きつけられて、頭が真っ白になった。
フライトはキャンセルすることにして、返金手続きをしてもらった。ヒゲモジャさんは、意外と優しかったと追記しておきたい。
この時もキャンセルしない方が良かったのだろうか。
*5/11追記 キャンセルしてもしなくてもよかったらしい。この場合には、購入先のカスタマーセンター(日本/母国語)に連絡して、詳しい状況説明や返金等のスケジュールを確認した方がいい。飛行機代は、2日以内に返金されると言われたが、今日現在返金はされていない。(5/7 日本のカスタマーセンターに連絡済)
こちらから、この便に変更リクエストや他の航空会社のチケットを取るからキャンセルしてほしいとか言うのは絶対にしてはいけないらしいです。その後の補償が無くなるそう。
*6/29 この時キャンセルしないで、ダメ元で連絡待ちのステータスにすれば、ホテルと食事代1日分はSASから補償されたようだ。ただ状況確認のため翌日も空港へ行かなくてはならないと思われることから、翌日も時間が消費される。金銭面だけを考えれば、連絡待ちにした方がいいだろう。
ホテルに戻り、いったん朝食を取る。食べているうちに、感情がこみあげてきて泣いてしまった。去年の9月頃から準備してきて、まさかこんなにあっけなく行けなくなると思ってなかったからだ。少し泣くとすっきりした。帰りの飛行機でインサイドヘッドを見たのだが、「悲しみ」はこういう時に一定の効果がある。泣くの大事。
お腹が満たされると元気も出てくるものだ。まずは今日からのホテルの確保、ホテル・現地ツアー会社へのキャンセル連絡、返金の交渉、保険会社への連絡などを一気に進める。
ホテル・ツアー代はキャンセルポリシーにより返金不可という事で、かかった金額は二人分で約22万円。金額が大きく、ショックも大きかった。旅行保険で降りる金額ではとてもまかないきれない。
また、保険会社と話している中で、キャンセル証明書が必要ということも分かった。空港のサービスカウンターに再度向かい、貰いに行かないとならない。
空港へ再び向かい、キャンセル証明書を発行してもらう。貰えたのだか、なんだか小さい紙切れにフライト番号と、キャンセルになった事、サインがぐちゃっと書いてあるものだった。これは、フライトをキャンセルした時に同時に貰っておけば良かったと思った。
忙しそうな係のお姉さんに「ロングイエールビェンでのホテルやツアー代が全額返金不可なのだが、これはSASに請求できるか」と聞いた所、「できる」と言われたので、少し希望が湧いてきた。
4/29-4/30 オスロ市内
SASのホームページへ行ってツアーキャンセル料を請求しようとしたが、"あなたのフライトは既にキャンセルされているので請求できない"とアラートが出る。再び怒りがこみ上げてくる。
EU圏外からEUへ、EUからEU圏外へのフライトでキャンセル等になった場合にはEUR600までの補償が出る可能性(EU regulation 261/2004)があるらしいが、ストライキによるフライトキャンセルはこれに該当しないらしい。
現地でできることはもうこれ以上は無いので、後は日本に帰って行動する事にして、3日間をオスロで満喫した。
5/1-2 オスロ - ヘルシンキ- 日本
帰国の日がやってきた。オスロを全力で楽しんだとは言え、全く忘れたわけでは無かったストライキ案件。常に頭の片隅に潜んでいた。日本にさっさと帰りたいような、まだこっちにいたいような気持ちだ。
再び、ガーデモエン空港に行くのもあの朝を思い出すので、どよどよした気持ちになるが、とにかくお家へお家へ。
未だcancelledばかりのSASのフライト。
この美しい空港をなんとも言えない気持ちで出発する。こんな旅は初めてだと思う。
5/3 日本
ついにストライキが終わったらしい。メールのリンクは押せない。補償の詳細を知りたくてヤキモキするが、どうしようもない。
日本の問い合わせ先が9:00〜12:00まで空いているようなので、11:58にダメ元で電話してみたら、繋がったのでキャンセル料の請求方法を確認した。支払がされるか分からないが、請求しなければ、何も戻って来ないので請求する。
下記 Claim Formから今回のケースは請求することになるそうだ。
「General complaint or compliment」を選択、「Please select a topic for your feedback」「Select category」 で「Airport Service」を選択。
「What's your feedback about?」「Staff&Service」を選択、その下の 「Select category」「Other」を選択、 「What type of comment do you have?」「 Complaint」を選択すると、Booking Ref、コメントを入れる所、レシートを添付するページが出てきて、こちらで請求可能だ。添付ファイルは、5MBまで付けられる。
コメント欄の冒頭に、Japanese Pleaseと入れておくと日本語でコメントを記載でき、日本のスタッフがプッシュしてくれると言っていた。
最後に「SUBUMIT」を押すとCase IDが出てくるので、スクショを取っておくといいかもしれない。少し遅れてメールが来るが、画面がすぐに消えて不安になるので、念のため取っておこう。
請求後、自動返信メールが来た。青い部分が、強烈に腹立たしい。お客から見たら、SASもパイロット組合も同じなのでストライキでも何でも被害額は全額支払ってほしい。感情論ではあるが、とにかく悔しい。
保険会社からの書類が自宅に届いていたので、連休後半に仕上げて郵送したい。
まとめ
何事も学ばなければ、いつまでもただの馬鹿なので、今回のレッスンを記しておく。
1. フライトのチケットは、極力航空会社から直接購入した方が交渉しやすいと思う。この点は、航空会社から直接購入した自分を褒めたい。Expedia等で購入すると安いが、トラブルがあった時にどこに確認していいかの判断が難しい。担当者も面倒だとたらい回しにする。
2. 旅行保険は大事。損害だけでなく、遅延補償もついているのがいい。クレジットカードの補償については、私のクレジットカードは使えるものがなかった。友人のカードは、グレードが高いカードだったので、手厚い補償がついていた。
3. 僻地に行く際には特に交通を気を付けなくてはいけない。個人手配の場合には、その僻地のプロではないので、極力安定している航空会社で近くまで行くこと。できたらスケジュールに余裕を持たせ、スト情報を入手したら、予算を確認の上、他の航空会社に変更することも考える。
*5/11追記 あまり情報のない場所に行く場合には、旅行会社を通して手配した方が、何かあった場合には、情報を持っているので賢明だそう。スピッツベルゲン島へよツアーは日本の旅行会社では無く、これは仕方なかったと思う。
4. 現地のツアーは、僻地なこともあり、1週間前からのキャンセルでキャンセル料が100%請求された。キャンセルポリシーについては理解していたが、何が起こるか分からないため、個人で手配するなら、ツアー会社予約のタイミングは、慎重にすべきだと思った。混んでいないなら、現地で予約するなど。今回は不安になりがちな自分の性格が裏目に出た。
5. まさかと言うことは、本当に突然起こる。その時どう行動するか、自分が試されているように思える。落ち着いて最善を尽くすことはできなかったが、代わりにオスロを楽しめたので、良かったと思う。
日本に帰ってきて思うのは、日本のストライキと海外のものを同じものだと考えてはいけないという事だ。今回は、ノルウェイ、デンマーク、スウェーデンの若いパイロットたちが起こしたものだそうだ。イースター後を狙って、影響が少ない時期を選んだようにも思えるが、1週間もの長い間、ほとんどのフライトがCancelledになっているのでその影響は甚大だと思われる。それでもストライキを敢行するという覚悟なのだ。
現地ツアー代の請求について、現在SASがボールを持っている。進捗があったら、追記していきたい。途中、誤った選択肢を選んでいるかもしれない。ゲームではないので分岐点でセーブはできない、これが人生だ。
*5/11追記 返金やクレームについては、カスタマーサポートに連絡して終わりではなく、状況が進展しない場合には、何度もカスタマーサポートに連絡してプッシュしてもらうこと。待っているだけだと、半年や1年待たされたり、最悪クレームを無視されることもあるそうです。私にとってはすごくハードルが高いのですが、”クレーマーになったつもりで何度も連絡すること”が大切だそうだ。
*6/29 結果としては、SASからは航空券代以外は補償されなかった。何度もカスタマーセンターと交渉したが、同意には至らなかった。
SASの言い分は、下記の通り。
1. 4月中旬からストライキの情報は流していた。その時点で心配な客についてはフライトの変更キャンセルは無料で行うと通知していた。(これについて聞いていない、連絡したという証拠を出せと言ったが、拒絶された)
2. ストライキに入った時点でも30%の便は稼働していたので、自分たちは最低限の責任をはたした。(主要都市のみの話で.マイナーな地域に行く便については全便欠航だったのだから、その主張はおかしいと言ったが、無視された)
3. SASの規定でストライキにより、行けなかったコンサートチケットやホテル代は補償しないと書いてある。(これは悔しいけどその通り。)
そして最後にこの決定に不満なら、下記に訴えることができるとリンクを送ってきた。「お前のこと訴えてやるからな」と最後っ屁のごとくに文句のメールを送ったが、正直怒りで心が疲れてしまったので、今現在訴えてはいない。お腹いっぱいである。
If you are not satisfied with SAS final decision in this case, you can submit a petition to your local Consumer Complaints Board. See link below:
NEB Europe
National Enforcement Bodies (NEB) | Mobility and Transport
しばらくして、食後のデザートとして、下記のメールが送られてきたので、全ての項目を5段階評価の一番下”Very Poor” として返答しておいた。まず飛行機に乗ってねぇし、自動送信であってもクレームつけてる客に送ってくんなという感じである。控え目に言って、Bankruptしてしまえと今でも強く願っている。
もっと交渉ができる人なら良かったと思うが、そういう性格ではないので、仕方ない。
楽しい休暇、リスク管理をしつつ、皆さんお楽しみ下さいませ。
次回からは、楽しかったヘルシンキ、オスロ旅の事を書いていきたいと思います。