木爪崎 水仙まつり 大人女子は冬に下田を目指す
それは、フラ友の一言で始まった。
「水仙まつりに行きたい」
世の中、自分が知らないだけで、色々なイベントがあるものだ。水仙、小学校等の花壇に咲いているものしか見たことがないと思い、この凍てついた寒空の下、海沿いの丘に咲いている水仙を見てみたくなった。
年齢も仕事も生活も違う、同じハラウでフラを習っている気が合う4人のスケジュールを合わせるのは、時としてとても難しい。合わない時は全く合わないのだが、今回はさくっと参加者4人の予定が合った。
そこからの行動は光のごとくだ。旅行会社に勤めている一人が、交通を押さえてくれて、下田への日帰り旅行が確定した。
伊豆は、熱海や修善寺は若かりし頃行ったことがある場所だが、ほぼ記憶がない。何となく団体旅行でわーっと行ってわーっと帰るという印象しか持っていない。ただ下田はペリー来航の地なので、テンションが上がる。
伊豆下田観光ガイド-伊豆下田観光協会公式サイト- | 水仙まつりwww.shimoda-city.info
木爪崎は、下田駅からバスで15分の場所にある。バスは、基本的に1時間に1本で、休日は2〜3本は運行している。
7:50、ここは本当にJR新宿駅なのか⁉︎驚くほど人が…いない…。恐る恐る指定されたホームへ向かおうとしたのだが、「この先売店なし」のポスターを見て、近くのコーヒー屋さんで朝ごはんを買いに戻る。
8:15、今日の参加者が全員揃い、一気にそれぞれが話し出す。何となく話が噛み合ってなかったり、空回っている気がするがおかまいなしだ。何年ぶりに再会すると言うわけではないのに、何故こんなに盛り上がるのか自分でも不思議だ。大人女子の話は、いつでも積もっているものなのだ。
無事にスーパービュー踊り子1号特急が来て、8:30、新宿駅を出発する。
椅子を向かい合わせにして、すっかり旅モード、同じ車両に人はまばらだ。3連休の最終日、この空き具合は経営が成り立つのか不安にさせるほどだ。
4人で話が盛り上がり過ぎて、途中の写真がほとんどなかった。雪化粧の富士山も車窓を通り過ぎるだけだ。
熱海の手前から海が見え始める。海が見えるとテンションが上がるのは、フラ好きだからか、内陸県である埼玉県育ちだからか。遠くに見える島が何か、GoogleMapで何度も確認してしまった。薄ぼんやりとだけど、初島や大島が見えた。
熱海、伊東で人が降りていき、下田まで行くのはこの車両には私たち4名だけになった。
11:12、下田駅に到着した。冬の風が吹き抜けていく。
駅前のロータリーからバスに乗って木爪崎に向かう。思った以上に空いている。水仙まつりの旗を見かけるので、祭りがやっていない事は無いと思うが、
杞憂であった。
バスに揺られる事15分、木爪崎に到着した。海沿いだからか、風が冷たく強い。
可憐な水仙たち。丘の斜面にも花が見える。
海沿いに咲いた水仙は、風に吹かれてゆらゆらと思い思いに揺れている。その中を歩くと水仙のとても良い香りがする。
こんなにたくさんの水仙が咲いている場所には今まで来たことが無かった。一部見頃が終わっているお花たちもあったが、まだまだ満開だった。
木爪崎には灯台もあるので、そちらへも歩いてみた。風が冷たくて、耳がキーンとする。
恋する灯台プロジェクトというものがあるらしく、会場のあちこちにハートをバックに写真をとる場所が設置されている。残念ながら、この日は、カップルがいちゃいちゃしている様子を見ることはできなかった。
空いているのを良いことに、主催者の趣旨に反してハートを使った面白写真ばかりを撮ってしまったことをここで少しだけ反省したい。
灯台へ行く途中に「柱状節理」が見られるということで、更にテンションが上がる。丘を降りると、えのき茸のように、みっしりと並んで柱が、地中から生えている景色が広がる。東尋坊は、とても怖く感じるのだが、この柱状節理は海と大地のダイナミックさを感じて、荒々しいような印象を受けた。
おまけで世界の柱状節理が気になって、調べてみたのだが、アメリカのデビルズ・タワーが圧巻だった。いつか訪れてみたい。
あまりの風の冷たさと空腹の為、13:20、バスで下田駅に戻る。水仙もいいけど、寒さと飢えには勝てなかった。
下田駅前に戻り、お腹が空いたので、地元のお店で海鮮丼をいただく。絶対に海鮮が美味しいだろうと確信していた。言わずもがな。
一口いただいた金目鯛の煮付けもめちゃくちゃ美味しかった。
体も暖まり、お腹もいっぱいになったので、ペリー来航の港へ、カフェを探しながら向かう。
標識に沿って何となく歩きながら、ペリー来航の港に到着した。
この場所にスーパーハイテクな太平洋を横断できる異国の船が来たことに、驚くというよりは恐怖を感じた人も多かったかも知れない。
時間も迫ってきたので、行きとは違う道を散策しながら、下田駅に戻る。途中、古民家を改装したカフェがいくつかあり、とても惹かれた。帰りにバイバイしてくれたネコさん。
16:07、カフェでお茶をする時間が取れなかったので、売店でコーヒーと温泉まんじゅうを購入し、下田駅から踊り子号に乗り込んだ。
帰りの電車、かなり眠くてうとうとしていたのだが、用意周到なお姉様がトランプを持って来てくれたので、何十年ぶりかのババ抜きで戦った。顔の表情でババのいる場所を教えてしまう人が多くて、大人気なく白熱してしまったことはご愛嬌で許してほしい。
冬の伊豆は、大変空いており、観光地の混雑でストレスを感じることはなかった。ゆっくりまったりしたい大人女子にはぴったりな場所だ。
水仙まつりは今月いっぱいまで開催されている。新宿から片道2時間半、バスで15分の旅程だが、水仙が咲き乱れる非日常とのんびりと静かな漁港に癒されること間違いなし。