ままならぬもの
変わりばえのしない髪型に少し変化を持たせたくなって、前髪を数年ぶりに前髪を作った。
久し振りの前髪のあるスタイルに浮かれていたのだが、しばらくして思い出した。
前髪のクセがすごくて扱いにくかった事を。
前髪のクセは母とすごくよく似ている。顔の造作や髪質は父と似ているが、毛先は柔らかくくせっ毛なのに、前髪辺りの髪はどストレートでスパンと下に伸びる前髪のクセは、母のものだ。
言うことを聞かない前髪をならしていると、自然と母を思い出すし、まあいいかという気持ちになる。
世の中の親子関係は、成熟するものもあれば、こじれてしまうものもある。結婚すれば、相手の親も親子関係に組み込まれてくる。難しい事この上ないが、まあいいかと思うくらいの距離感があるとこじれ過ぎないで良いのかなと思うのだ。
皆が平和に過ごせる距離感は、健全な魂にしか生み出せない。100%完璧なものなどは存在しないから、そんな世界は想像でしかない。皆が少しこだわりを捨てて、諦める事ができるなら幾らかいいかもしれないが。
親子関係に限らず、世の中はままならぬものだ。