ぴこのねごと

さあ、つかの間の現実逃避へ。 旅とフラと時々経理の話

自分の居場所探しという心の迷宮

 人の悩みというのは数多くありますが、「自分の居場所がない」というジャンルも割とメジャーな気がします。私自身は、席が狭くて物理的に座る場所がない等なら理解できるのですが、会社や自分のコミュニティで精神的に居場所がないという悩みがちょっとよく分かりません。基本的に誰とでも浅く広くうまくできるのと、居場所は家族(またはお家)、それ以外は外の世界で居場所など無いと線引きしてしまっているからかもしれません。

 

 ただ世の中には自分と同じ世界を見ている人は一人もいないので、自分の思考の幅を広げるためにPodcast、「本田健の人生相談」「心屋仁之助のホントの自分を見つけるラジオ」を聴いています。同じ質問でも返答が違うので、興味深いです。

 

 1月、何の因果か、同じようなタイミングでPodcastが配信されて、質問の内容を示すタイトルが同じだったので、興味深く二つを聴き比べてみました。

 

本田健の人生相談」

1月18日リリース 第338回 「自分の居場所がない感じがしています」6分10秒あたり

 

【質問】

 3歳の息子がいる主婦の方、なんとなくママ友という人は何人かいるが、時々そのコミュニティで自分の居場所がないと感じることがあり、こういう感覚は、ママ友だけではなく普通の友達といる時も感じる時がある。

 こういう風に感じると、自分から距離を取ろうとしてしまう。4月から幼稚園に入るので、またこのパターンを繰り返すのではないかと少し不安。こう言う気持ちどう向き合えばいいでしょうか。

【回答】

 ごく普通です、居場所がないと感じるのは普通。居場所があると感じる方がちょっとおかしいと思う。全く知らない人たちがその辺をうろうろしているわけですから。(本田さんは、子育てをしていた時期に)ベビーカーを押して、(他のお母さんの集団に)入れないし、向こうもどうやって話したらいいか分からない(状況もあった)。

 居場所がないと感じることが、おかしいと思っている。しかし小学校、中学校でもそういうのを感じたでしょう。自分も新しい全く知らない人がいるパーティに参加しても居場所がないと感じる。今でも一人で行くのは嫌で、誰かに連れて行ってもらいたいと思う。

 居場所がないというの人生のテーマで、誰でもそうなのかもしれない。居場所のない中で気の合う人と付き合って家庭を持つということだろうし、居場所のない世界の中で誰かと友達になっていくからこそ友達が大事。居場所のない中で自分で居場所を作って行くかという技術を小学校くらいで教えるべき。それは技術なんです。新しい保育園、幼稚園の中でも誰か自分と相性いい人を探す、自分の事を否定しなさそう受け入れてくれそうな人を友達にすれば1個居場所ができる。居場所がないのが普通で居場所を作らなければいけないと思えばずいぶん楽でしょう。自動的に居場所があるように感じるのは絶対にない。

 どこに行っても居場所がないと感じます。人間である限りみんなそう。居場所がある場所にずっといてもつまらないし。

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 ご自身の体験を例に出しつつ、居場所がないのが普通で、気の合いそうな人を見付けて仲良くすることが居場所を作る事だという回答に思えました。明快でシンプル。

 

一方、心屋さんのPodcastでは、こんな感じでした。

「心屋仁之助のホントの自分を見つけるラジオ」

1月19日リリース 第37回 「居場所がないのは本来のやるべきことをするチャンスです!」23秒あたり

 【質問】  

「第29回で私なんかいなくても大丈夫と思えれば、休みが取れるようになる」という趣旨の話がありましたが、私は手柄を独り占めし過ぎる人に出会い、会社で居場所を失い最終的に私なんかいなくても会社は回っていくし、別の新しい人来るし、私なんかいなくていいかと会社を辞めてしまったことがあります。

 私も私がいなくても仕事が回るようにしておきたいタイプですが、いつの間にかネガティブの方にひっぱられて、「私なんかいなくても大丈夫」イコール「私なんかいない方がいい」へ変わっていきました。これって私のスネなのかなと思いながらも、過去の自分を振り返ると私なんかいない方がいいと思ってしまうことが多くあったような気がします。仕事に限らず集団の中にいると居場所がなく、こういう風に思っている人いるんじゃないかなと思うのですが、私みたいに思っている人に向けて何か言葉をお願いします。

 【回答】

 自分も会社員時代に仕事を奪われ、会社に行っても何もすることがない時期があった。自分は今までちゃんとやってきたのに、自分は役に立ってないという思いに包まれた時期があった。その時期に、メルマガを始めたり、ブログを書いたりしていた。あの頃にそういう活動をしていたから今がある。居場所がないということは、私は好きなことをやっていいということ。時間を与えられたから、今この仕事をしなくてもいいから本来の自分のやる事をやるチャンスが来た。

 与えられた仕事で、自分の価値は無くてもいいし、居場所がなくてもいいし、自分なんかいない方がいい。その仕事をしなくてもいいから、その時間を使って自分の好きなことをこっそりやっておきなさいということ。自分も実際には、その時期に起業の準備をしていた。

  やりたいことをいっぱい我慢して、そんなことやっている場合じゃないと思って、今仕事をしている。それをやっていて、自分らしさからどんどん離れていってしまっている。もっと本来の自分のやりたいことが絶対あるはずだから、こっちへ戻っておいでと時の流れが教えてくれている。

 また居場所がないと言っている人に、いなくてもいいと言ってあげること。「いない方」がいいと相手が泣くまで言ってあげると、相手が「そんなことない」と立ち上がる。どん底まで生きたら人はむくっと立ち上がるのです。ふらふらになりながらも、ふらふらになってはいけないと低空飛行でもがいてて落ちない、落ちないようにキープしている時間が一番しんどい。それが、「負けた」とべたっと下まで落ちたら、「さあ行こうか」と人って急に立ち上がる。

 この人も自分の事を責めているようで、いじけているようで、すねているようで、中途半端なんだ。自分が自分の事を中途半端に責めているくせに、「自分なんかいない方がいいのよ」(と言う発言)に対して、「そんなことないよ」と回りが答える。それでまたちょっと浮く。でも落ちたい。地上5センチぎりぎりの低空飛行がとてもしんどい。自分の事を責めながら、中途半端すぎる。もっとざくっと体を切ればいいのに、お箸の先で切るくらいしかやっていないから、いつまでもひりひりと痛い。

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 かなり要約してしまいましたが、4,5段落が心屋さんの真骨頂という感じがします。居場所がない人は、そこでやることがないと思い、自分の本当にやりたいことをしなさいという回答。中途半端な癒しはいつまでも相手をしんどくさせるというのは、確かにそうだと思いました。

 

  立場が違う事もありますが、お二人の居場所がないと感じている人への言葉があまりにも違い過ぎて、面白いです。

 本田さんは、強い人、自分で何でも切り開いていく人の言葉のようでした。実際そう行動してきて、今著名になられて好きなことができる立場になられているので、言葉にも信頼性があるように思います。ただこの方法だと、気が合う人がいなかったら、または自分の心が外に開いてなければ、居場所が作れないので苦しいなあと思いました。居場所を作るのは技術で、小学校で教えるべきというのは、驚きの主張でした。私は、自分の居場所は、グループでの自分の在り方で作るものなのではないかと思うので。中心にいたいなら、その様にふるまえばいいし、陰で支えるのが好きなら、その役割をすればいいという単純な事ではないのでしょうか。居場所がないと感じるのは普通です、という言葉にはとても勇気をもらえると思いました。

 

 また、一方で心屋さんは、その人の心に注目して答えているようでした。自分の心が居場所がないと感じるのは、そこでやることはないので、他の自分がやりたいことに目を向けようというサインです。自分自身の甘えのようなものは、自覚が難しいので、言われるとはっとします。自分が辛くないように自分の心が自分を騙す、そのシステムが働いている限り、どこに行っても居場所はないのかもしれないと考えると恐怖です。自分が辛くて蓋をしている考えとは、いつか向き合うことになる、"居場所がない"と感じることがそのトリガーの一つなのかもしれません。

 

 大学の頃の心理学の授業で、「自分探しと言うものは、玉ねぎの皮を剥いていく事と同じだ」と言われました。何処まで剥いても、身はなく、剥ききってしまえば、そこには何も残らない。自分の居場所探しも同じように思います。何処を自分の居場所とするかは、自分が自分で決めるしかないのだと思います。

    個人的には、"集団の中で一人"でもいいじゃないかとも思います。我が身を振り返ると、小さな会社の管理職の為、社内でぼっちだし、落語も基本一人、旅も一人、友達と行ったとしても、現地集合でホテルばらばらだったり。居たい場所で、「ここが私の居場所ですが、何か」ぐらいの図々しい心持ちで良いのではないでしょうか。

 リスナーさんの質問に優しく、時に厳しく答えてくれるお二人のPodcastを下記に貼ってみましたので、よろしければ。

KIQTASの「本田健の人生相談 〜Dear Ken〜」を iTunes で

KIQTASの「心屋仁之助の「ホントの自分を見つけるラジオ」」を iTunes で