バルセロナさんぽ Day1
何の因果か。導かれてバルセロナへ。
日本で小さくまとまって生きているので、日本の外の世界をよく知らない。
今年は旅する年とは決めたもののヨーロッパには近づかない予定でした。
大学生時代、イギリスに行ったきり、ヨーロッパ方面には行っていないし、
テロや難民問題等により起こるかもしれないトラブルに出くわした際には、
日本でぬくぬく生きている私に、対応できないと考えていました。
いくつかの偶然が重なり、休み、チケットも宿も取れて、気持ちも定まって、
出発の3週間前にもかかわらず、準備が整ってしまいました。
その後、時差を間違えフライトを出発の6日前に変更したりもしたけれど、
ひやひやしながら無事に旅立ち。
バルセロナでどうしても行きたかったのは、
サグラダ・ファミリア聖堂。
未だ未完の教会、100年以上かけてもまだ出来上がらないガウディこだわりの一品。
バルセロナ行きのお誘いを受けた時、
真っ先に浮かんだのは、この教会でした。
(ちなみに二番目にはFCバルセロナ、次にパエリア)
事前予約を9:30からにしていたので、朝8:30にホテルを出発しました。
ホテルの前の道からモヌメンタル闘牛場を曲がって、北へ向かいます。
日曜日の朝だからか、通りは静かで、
風が並木を揺らし、太陽の光は強いけれど、
空気は涼やかで乾燥している日本の初秋みたいな気候です。
(かつての闘牛場、モヌメンタル闘牛場。カタルーニャでは闘牛禁止だそう)
ランニングする人、犬を連れてお散歩する人とすれ違いながら、
道を上がっていくと徐々に鐘楼が見えてきました。
まだ距離があるのに堂々たる貫禄に、どきっとしました。
初めに目に飛び込んでくるのは生誕のファザード、
うねるような壁が生命の力強さを現しているようで、迫力にのまれそうです。
まだ時間があるので、ガイドブックでよく見るアングルで写真におさめようと、
近くの公園へ移動します。
自撮りしようとしていたら、「英語しゃべれますか、写真撮って欲しいのですが」と、若い男の子が言ってきたので、私もついでに撮ってもらったのですが、
真っ黒じゃないか。
まだ時間があったので、教会の周りを一周することにしました。
栄光のファザードは工事中でほとんど見えなかったけど、
生誕のファザードと比べると、ずいぶん新しいし、壁が白いなと思いました。
ただ完成するころにはいい色具合になっているのかもしれません。
反対側の受難のファザードを見た時、鳥肌が立ち、
ちょっとじわっときてしまいました。
そのすっきりとした壁、最後の晩餐から始まる物語を刻んだ彫刻、
磔になっているキリストの像、人のあばら骨や筋肉を現す柱に
キリストの死がテーマであるにもかかわらず、
生きていくことの困難さや辛さを感じてしまいました。
始めに生誕のファザードを見たので、
そのギャップにも驚いたんだと思います。
生誕のファザードの鐘楼に上る予約をしていたので、上ったのですが、
高所恐怖症の私は、非常に怖くて、上ったことを狭い狭いらせん階段を下りながら後悔したのでした。
サクラダ・ファミリアからの帰り道に、おっかなびっくり地下鉄に乗車しました。
事前に得た情報によると、集団で囲まれてすられる、女性のスリもいる、
とにかく危ないみたいな話だったので、警戒心MAXです。
乗車後、社内にラテン音楽が流れてきました。
さすがスペイン、車内には陽気な音楽が流れるのかと思ったら、
日本ではおばちゃんが持っている荷物を入れるキャスター付きの荷物入れに
音楽プレイヤーを積み、それに合わせてトランペットをおっちゃんが吹いていました。
乗客が多いので、始め全然おっちゃんの姿は見えなかったのですが、
一駅ごとに場所を移動してくるため、近づいてきて気が付きました。
地下鉄の駅員さんはいないのでしょうか、自由過ぎます。
心配性で臆病な私は、旅行前にはガイドブック数冊を熟読します。
地図、地名、観光地、トラブル対策を極力頭に入れて旅に出ます。
現地についてあちこち迷いながら、歩いて、ぐるぐると巡ると、
二次元だったその町が、三次元になって自分の目の前に積みあがっていくような
気がします。
後日バルセロナを循環している観光バスに乗って、
バルセロナ周辺を車窓から見ていた時、
モンジュイックの丘から、遠くにサクラダ・ファミリアが見えました。
タケノコが5本くらいまとまって地中から生えているような、
地中に埋められた亀が這いだそうとして、上に手を伸ばしているような、
そんな絵で、わお三次元!と変な風に感動してしまいました。
(余談ですが、この観光バスは、この後カタルーニャ広場で煙を吹きました)
Day2に続く