ぴこのねごと

さあ、つかの間の現実逃避へ。 旅とフラと時々経理の話

あなたのお部屋は大丈夫?ふと後ろを振り返ってしまう一人の部屋で 残穢 (ざんえ)- 小野不由美

中々まとまった時間が取れず、旅に出る時間がないと映画やアニメをひたすらに観る日々が始まる。

 

ただし仕事で忙しいと言うことは同時に目をパソコンで酷使することでもあり、ブルーライトや鮮やかな光が目にしみて耐え難い時もある。

 

そんな時には特に紙の本にお世話になる。スマホが普及してから、その便利さで電子書籍をよく利用するが、こう言う時は目への負担を考えて紙の本を手に取る。

 

今の私には、ホラーが現実逃避には最も適している感じがすると手に取ったのが「残穢小野不由美著である。初版が平成27年なので4年前の本だ。

 

転居した部屋で何かが畳をする音が聞こえ、背後には気配が…。と本の背面に書かれたあらすじにある。これだけ読むと何となくありふれた題材で安心して現実逃避できると安易に思った。

 

感のいい方ならこの次にどう言う感想が続くのかお分かりになるかと思うが、現実逃避どころかリアル過ぎて、フィクションなの?ノンフィクションなの?という疑問の天秤が左右に激しく揺れ動き最後まで一気に読んでしまった。

 

そして部屋で一人で読んでいる時が最高潮に怖かった。あまりに怖くて外も暗くなっていたけど、外出していったんサウナへ清めに行く始末だ。

 

家に何かが出る話は、原因を突き詰めて解消されて一件落着、更にちょっと付け加えてまだ浄化されていないものが少し残っていて、何かが起きそう…みたいに終わるパターンが多いような気がする。

 

しかしそういう展開ではなく、古い地図と付近の住民やその知り合いを取材し、調べ尽くした所で終わる。虚妄なのか現実なのか、登場人物もはっきりできない(はっきりしようがない)。

 

しかも物語の展開が、小野先生とお友達が実際に調査して、経験していくという形で進むため、臨場感が凄かった。

 

また調べるキッカケとなった怪異現象が独特なことがフィクションかノンフィクションなのかの判断を大いに惑わせた。これは意図されていることなのかもしれないが、そうだとしたら思い通りに動かされてしまった。

 

古い本なので、既にお読みになられた方も多いと思うが、ドキュメンタリーホラーがお好きな方は是非。ブレアウィッチ・プロジェクト(一番最初のやつ)くらい楽しめる。

 

 

フィクションとしての怖い話は好きだ。エンターテイメントととして手放しで楽しめる。怖い話が好きなくせに、本当にあった怖い話にはあまり近づかないようにしている。大体の事象に理由がつかないのが怖いからだ。

 

しかし気をつけていても時折私の元に怖い話がやってくる。同じフラスクールに通っているAさんの話だ。7,8年の長い付き合いなのにそういうものを感じると聞いたのは初めてだった。意外と近くにそういう人がいるものだ。

 

いくつか聞いたが、部屋に関するものが下記の3つ。

 

[その1]

発表会の前日、仕事が忙しくてフラの衣装の準備を真夜中にしていた所、キッチンの方から何かがこっちを見ている気配がした。キッチンとリビングはドアで仕切られており、その時ドアは開いていた。電気は消えていて何も見えなかった。気のせいだと再び準備を始めたら、寝ていたはずのケージの中のウサギがじーっとキッチンの暗闇を見ていた。

 

[その2]

ある日、仕事から帰ってきて、電気をつけたまま寝落ちていたら、夜中2時頃に肩を何かに「つん」と押された。それで目が覚めたのだが、肩を突かれた感触が残っていた。

 

[その3]

部屋で寝ている時に遠くでお祭りのお囃子が聞こえて目を覚まして、何かと思って窓を開けても何も聞こえなかった。ネットで近所のイベントや祭りを調べたが何も無かった。

 

比較的新しい物件だったし、大島てる(この時までこういうサイトがあるのを知らなかった)で調べても何もなかった。また悪さをしてくるわけではないので大丈夫だと思うと彼女は言っていた。原因は分からないのだ。

 

この時彼女は私の最寄駅の隣の駅の近くに住んでいたので、妙にリアルで身近に感じてしまった。結局、彼女に生活の変化があり、2年の更新も待たずに引っ越してしまったので、遊びに行くことも叶わなかった。今も隣の駅の物件にはそういう部屋があると思うと怖いし、引越しするにしてもアタリは絶対に引きたくないと強く願う。

 

怪奇現象などの怖い経験にはあったことがないので、怖いもの見たさでとても惹かれるのだが、怖がりなので、ドッピオに出会った時のリゾットばりに「私は近づかない」を貫いている。

 

しかし、ちょっと怖い場所はざらにあり、大昔に某乙女ゲーにはまっていた時に、梶原景時が刀を洗っていた場所(梶原景時刀洗水)に聖地巡礼気分で行ったことがある。友達と二人でここ何か怖いねと早々に立ち去ったりした。まあ朝比奈切通しがなかなかの場所だったのだか…。

 

また去年行った高野山 奥の院も朝行っただけだがとても雰囲気が怖かった。夜のツアーがあるみたいだが、参加しようとは思わなくなった。

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穢れるということに中々敏感な我々ではあるが、物理的にどうかということではなく、お気持ち的なものが多いので、何でもかんでも祟りや穢れのせいだと思うとまともに生活してられない。周りがお塩だらけになってしまう。

 

残穢の登場人物たちのように疑い、観察して、そういうこともあるかもしれないと考え過ぎない方が、何事も良いのかもしれない。

 

洋物ホラーのように、心霊スポットに迂闊に訪れて行くとタヒなフラグが立つ可能性もあるので、楽しめる範囲で現実逃避も楽しみたいものである。用法、用量を守り使用する事で、怖い体験はしばしの間現実を忘れさせてくれるものである。

 

ただ小説読了後、お部屋の中でシュッと音がしても振り返らないことをお勧めする。