ぴこのねごと

さあ、つかの間の現実逃避へ。 旅とフラと時々経理の話

熊野古道 小辺路 十津川温泉〜三浦口 Day2

「あれ?」

 怒涛の1日目から一夜明けた朝、お布団から起き上がった身体は思ったほど疲れてはいないように思えて拍子抜けした。

 

 宿泊した田花館の温泉は、源泉掛け流しのぬるっとしたお湯で疲労回復にも効くとの事。朝は6:00からお風呂に入れるので、更なる疲労回復を目的に朝風呂に入る。お湯は飲む事も出来るらしく、飲むと硫黄の匂いの味がした。

 

 今日の行程は、十津川温泉を出発して、三浦口バス停辺りまでの19.2㎞、時間7時間50分の予定だ。そう、私は経理人、数字に圧倒されたら負けなので、素直な気持ちでクールに現実を受け止めるのだ。それが マイルール。

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三浦口 十津川温泉

 

出典 わかやま観光情報

水ヶ峰(奈良県野迫川村)~三浦口(奈良県十津川村)~柳本橋(奈良県十津川村)|和歌山県観光情報 公式サイト わかやま観光情報

 

近くの商店で簡単な買い物をして、8:30に出発。9:30に西中バス停までの約8㎞の歩行を省いてくれる素敵バスがあるらしいが、乗らず歩き始めた。

 

歩き始めてみるとハーフマラソンを走った日の翌日の様な激しい筋肉痛はない。温泉が効いたのか、または山道は意外と身体に優しいのかもしれない?

 

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昨日は暗くて全く景色が見えなかったが、十津川温泉はとても素敵な場所だった。


f:id:Cagedsheep:20181209081336j:imagef:id:Cagedsheep:20181209081321j:image9:14、歩き出してすぐに今日一番のハイライトが来てしまった。目的地まで行くのに、柳本橋は必ずしも渡る必要は無いのだが、熊野古道だからきっちり渡る。

これは、高尾山の吊り橋とは全く別物だ。とにかく揺れる、板が心もとない。所々修理をしているらしく、新しい板と古い板が混在している。足を踏み外さない様に下を向くので、見ないようにしていても高さを認識してしまい恐怖に足が止まる。前を歩く3人が私に意地悪をしてるのかと疑ってしまうほどに橋は揺れた。渡り終わった後、手汗を拭きながら、今日はもうこれでお腹いっぱいだなと思った。


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その後は驚くほど平和な車道をひたすら歩く。緩やかな上り坂が徐々にHPを削る。

途中で9:30発のバスに抜かされ、羨ましげにバスを目で追った女が、「乗りたかったなあ」と独りごちた。


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10:30、最後の喫茶店にたどり着いた。ここから先、高野山まで喫茶店はないらしい。昨夜宿泊した十津川温泉の温泉で入れたコーヒーは、まろやかで身体に染み込む。硫黄の味はしなかった。温泉水は、十津川温泉のお友達の宿から分けてもらっているそうだ。

 

茶店のお母さんにミカンを貰って、出発。バスに乗りたかった女は、歩いたからこそこれたいい店だったなと、少し前の自分を反省した。


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11:10、山道まではまだまだ歩く。


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11:40、西中バス停を過ぎ、ついに登山口に到着。ここまでの距離は約8㎞。約11kmの山道との戦いはここから始まる。

 

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何だか荒れている山道。登山道付近で下山してくる男性とすれ違ったただけで、人気(ひとけ)はない。そのためだろうか。

 

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13:10、昨日と同じようにマイペースで地面だけを見て登る。最近著しくハマっている「宝石の国」のパパラチアが「慎重にな」とフォスフォフィライトに言いながら倒れる場面がぐるぐると回る。


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13:30、今西集落を見ながらお昼。時折、下の方でパーーーンと言う銃声がする。狩猟をしているようだ。それ以外は何も聞こえない。


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14:16、お昼を食べてもまだまだ歩く、三浦峠よ、何と遠いのだ。


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15:00「咳をしても一人」な気分。前にも後ろにも誰もいないのだ。

 

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15:10、「もうすぐ峠だよ〜」という先見隊からのかけ声で上を向くと日が明るく森を照らしている。


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 15:30、三浦峠(1,080m)に到着。

 

峠にたどり着く、少し前、突如下山してくる20名程の団体さんとすれ違った。汗ダラダラで、死に体で登っている私に、綺麗な登山服、気力に満ちあふれた人々が「お先にどうぞ」と道を譲ってくれた。

 

「後生ですから、お先に下りて下さい…」と喉元まで出かかったが、「頑張って下さい」「もうすぐ峠ですよ」と善意に満ちあふれた笑顔な人々に負けて、少しペースを早めて20mほど張り切って登ってしまった。

 

案の定、呼吸が乱れて、その後しばらく動けなかった。本物の登山好きは、皆あんな感じなのかなと思っていた。だか、その夜、宿の方と雑談をしていたら「三浦峠まで車で来て、下山する団体さんが来てましたよ」と言っていた。あの人たちだ。そうだよね、3泊4日分の荷物を背負って歩き続けていたら、そんな爽やかキラキラ訳ないよなと心の中で大いにうなづいた。

 

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ここからは下りだ。膝に気をつけながら、マイペースで歩く。ススキがキラキラしている。(こちらは頂いた写真。下りで膝を怪我するのが怖すぎて写真を撮れなかった)

 

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 16:05、三十丁の水に到着。「水あります」の表示に水分を補給しようと進んだら、水の雫がぽたりぽたりと落ちているだけで、飲める程の水量が無かった。ショック過ぎて、水場の写真を撮り忘れてしまった。無理した私の20歩を返して下さい。


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 16:30、急な下り坂と1.4km戦い、吉村家跡の防風林に到着した。樹齢500年前後の巨大な杉。かつて旅籠がここにあったと言われている。


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次第に暗くなってくる森。何だか怖くなってきた。

 

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 17:00、民家の間を抜ける。その後、1.2km歩いて車道に出た所で、日が落ちて真っ暗になった。今日もギリギリセーフだ。

 

17:30、下りきった所で、宿の方が迎えに来てくれていた。遭難したわけでも無いのに、暗闇でまっすぐに光る車のヘッドライトに「助かったぁ」という気分になった。

 

今日は、出発してから、到着まで9時間かかった。昨日の宿からスタート地点までの時間を考えれば、8時間くらいで今日の道は歩けた。まずまずのペースだったと思う。

 

宿について、靴を脱いで歩いた瞬間、足の皮が裂けたと思ったが、気のせいだった。今日も何とか乗り切ったのだ。生き抜いた。有難う、足の皮、マイペースで歩かせてくれる皆さん、お天気、熊野古道

 

Day3に続く

 

熊野古道の旅から2週間たったのですが、1週間目に足の小指の爪が死に、親指と中指の爪が途中から割れ、2週間目にホルモンバランスが崩れて体調不良になっております。現在、疲れの追撃を受けている模様。

 

急に寒くなりましたし、皆様ご自愛下さい。

良い週末を。