ぴこのねごと

さあ、つかの間の現実逃避へ。 旅とフラと時々経理の話

サウナな人々 - 裸のハードボイルド

サウナ、ほの暗く汗ほとばしる空間。

今日もまたそこで、女子たちのよもやま話に花が咲き、熱風が吹き荒れる。

 

この日のこの時間でのサウナのいつもの面々

 

今日は比較的若めの子、わんちゃんと、何でも話題についていくおばさん、知ってるさんがひたすらにサウナ回りのゴシップに花を咲かせていた。

 

わんちゃんは、とても聞き上手。髪を熱から守るためタオル地の帽子をかぶっている。被るとブルドッグの様な犬耳が頭に生えて斬新だ。

 

取り留めのない話が細い糸の様に続く。

西城秀樹はサウナで、

昨日は◯の王様に行ってきたんだけれども、

土曜日のサウナにはボスがいて、その時間に行くとその場所は絶対に座れない…

身体を洗わないでサウナに入る人がいて、その人の隣に座ると魚の臭いがして、耐えられない。

 

ちょっと最後の話題、実害ありそうなので、そこんところ詳しく!と体育座りをし、ひざで顔を隠した姿勢のまま、心の中で叫んだ。しかし人物が特定できないまま話題が終わってしまった。顔から汗がぽたぽたと重力に引かれて、落ちていく。

 

途中、水風呂休憩を経て、小一時間は話していただろうか、一通り話終わった後、

 

 

「本当に何でもお詳しいんですね」とスマイルで返すわんちゃん。

 

 

そのわんちゃんの言葉に、暑いサウナで何となく和やかでほっこりした感じなった。

 

が、次の瞬間、知ってるさんが、低音ヴォイスで返した。

 

 

「こんな話、知らない方が幸せなのよ。知っててもいい事ないの。あなたはこんな話知らない方がいいわ」

 

 

 

 

和やかほっこり感が充満していたサウナ内に、一気にハードボイルド感が漂う。

 

「えっ、なにこの雰囲気」と思わず膝の横から、知ってるさんを盗み見る。会話を聞いていることを、あからさまにするのは、サウナ内のエチケットに反すると勝手に決めているが、その禁を犯して、思わず見てしまった。

 

知ってるさんは、汗だく、タオルで重要部分を隠して体育座りの出で立ちにも関わらず、刑事に情報を売る、バーの奥の部屋にいる情報屋の様だった。ドラマの「BORDER」で小栗君に情報を売る、古田新太の様な存在感。

 

 

ここはどこだ。昼下がりのサウナだ。

 

 

この緊張感をもう少し味わっていたかったが、暑さに耐えられず、息も絶え絶えに、最後の力を振り絞り水風呂へ向かった。

 

 

 サウナであなたが他の人を聞いている時、また他の人もあなたを聞いているのだ。

 

 

余談だが、フィンランドで宿泊したアパートの地下にあった、サウナもなかなかにハードボイルドだった。バイオハザード感と言うのが近いだろうか。


フィンランド サウナ

 

 今日も皆さんの1日が、良き日でありますように。